2000/02/01「patagoniaとバルーン・サファリ」




その1 Patagonia

今日は「patagonia」の撮影をした。言わずとしれた世界的なアウトドアブランドである。
今回同行した前田さんは年齢も僕と近く?非常に話というか考え方が近いものを持っている人であった。そのせいもあって終始楽しく物事が進められたわけだが、何より前田さんという人間はもちろんのこと、洋服の商品としての確かさそして前田さんのような人をフロントに立たせている会社としての理念の高さに大いに敬服すると共に、このようなブランドの人がメディアを創っていこうとしていることを心から嬉しく思った。
ここのところ先にも書いたバンザイペイントの立沢さんともよく話すことだが、近頃従来のメディアが(テレビ、雑誌といった)本当にかすんで見える。ひがみではなくそこの中にいる自分の姿が全く見えないのである。ギャラリーにしても同じことで僕がデビューした80年代はそれでもまだお金があったせいか、力を入れて新しい何かを創ろうといった心意気があったような気がする。もちろん統べてではないが総体的に少なくなったし、魅力が無くなってしまったように思う。
当時新しい男のライフスタイルを提案し続けていた「BRUTUS」を作っていた小黒さんが今は
「SOTOKOTO」を作っている。やはり相変わらず、僕も前田さんも昔の「BRUTUS」なり
「SOTOKOTO」が大好きなわけである。
今もっとも若者が集まる渋谷のキャットストリートにある「patagonia」のショップには「SOTOKOTO」が置いてあるという。もちろん同じ商品として。嬉しい話である。今年から詳しいことは追って話そうと思ってるけど、僕の会社も新事業として何らかの商品を創ろうと考えている。それも「patagonia」のショップに置いてもらえそうである。

何だか前置きが長くなってしまったが、どのような撮影をしたかというと、簡単にいうとアフリカのケニア人にパタゴニアの服を着てもらって撮影をしたわけである。僕はもともと写真には必ず何らかのドキュメントあるいはリアリティーが必要だと考えている。だから今回もあえて僕の大好きなムパタクラブのスタッフに服を着てもらって普段彼らが生活しているスタッフビレッジの中で撮影した。
結果は大正解!本当に服も似合っていたし格好いいの一言だと思います。

木陰でラジオを聴きながらくつろぐ人たち、
部屋でくつろぐ、普段レセプションをしている日本語もできる女性ジョイス
実際に美しい農園で美味しい野菜を作っている農場長のビクトリア
サファリとは切っても切れない四駆のメインテナンスを毎日しているメカニック
その四駆の横でくつろぐチーフ・ドライバーのオボッチャさん
街で雑談するバーテンダーのタイソワたち
格好いい双眼鏡を持ってサバンナを見つめるナチュラリストのチェゲさん、などなど。

といった具合にすべてのシーンがそこにある。
そしてそこに何の不自然さもなく馴染むパタゴニアの服を僕はいたく気に入ってしまった。
何だかやられてしまった感じである。

詳しい写真はまた紹介しようと思っているが、「patagonia」というブランドに本当の意味で出会えたことを、そして前田さんに会えたことを本当に嬉しく思います。

Asante!


撮影中に雑談しているタイソワたち


その2 バルーンサファリ


サバンナに日が昇る(バルーンより)

 そして、昨日遂にバルーンサファリ初体験!
まだ夜が明けない頃 、僕たちはいつもとは違う四駆に乗り込んだ。(午前4時半)その四駆は南アフリカの軍事用の車なので気分はまさに「コンバット」だった。
そしてあるロッジに到着した。いきなり今日のパイロットだと紹介されたおじさんは大柄でひげを蓄えたオーストラリア人?のような大味の人であった。僕と前田さんはお互いに顔を見つめ合って、静かに不安を感じていた。すると突然、暗闇の中からバルーンが現れた。(暗くて見えなかったけどそれは僕たちの目の前にあった。)少しずつ大きくなっていくバルーンをみながら僕たちはコーヒーを飲んでいた。その日同乗したのは、カナダ人と、イスラエル人?のカップルが2組であった。それこそ僕と前田さんは小黒さんが昔作った「Guliver」で初めてバルーンサファリを知ったのであった。そしてずっと憧れていた。
まだ夜が明けぬうちから遂に僕たちはバルーンに乗り込んだ。 頭上には大きなバーナーが4つ付いている。「髪の毛、やばいんじゃないの?」というぐらいの距離である。

「えっ?」という間に、それほど知らない間にバルーンは地上を離れていた。とにかく無重力状態である。その上当たり前かもしれないけど風に乗って動くわけだからほとんど風を感じないのである。あるのは空気と触れ合っている感覚だけ!地上ではかなり寒かったのに不思議なことに上空ではまるで寒くない。
 
だんだんに夜が明けてきた。地上にはサバンナが大きく拡がっている、そこには時折噴射するバーナーの音以外は、空気が触れ合う音のみといった、僕にとっては新しい音響空間であった。
何と美しい夜明けなんだろう。僕はビデオを持ってこなかったことを後悔すると共に、せっかく持ってきているビデオを生かし切れていないカナダ人カップルのことが少々気になっていた。というのも僕たちの目の前に展開している視点は、日常みるものとは大きく違う。距離で言うと木のすぐ上からその木が模型のように見えるぐらいまでの高さの間を、風と共に流れているわけである。ロマンチックに言うとまさに鳥の視点である。よく映画でそれはまるで天使の視点がごとく撮影されているものがあるがそんな感じとも言える。
にもかかわらず、彼らはただひたすら動物をしかもデジタルズームで揺れ揺れで撮っていたのであった。
(余計なお世話でした)



バルーンより望むサバンナ


夜が明けて、サバンナの上には様々な動物たちが現れた。
一人うろうろするライオン。
家族で出かけるゾウたち。
水の中にうごめくカバたちなどなど。

およそ一時間ぐらいであろうか?あっという間に時間は過ぎてバルーンサファリは終わりを告げる。パイロットは何やら降りる場所を無線でやりとりしている。
そして無事にバルーンはサファリに着陸した。
それを待ち構えていた先程の四駆が3台僕たちに近づいてきて、バルーンの撤収と(その車に乗せて最初のロッジに戻る)僕たちの朝食の準備を始めた。
ウェルカム・シャンパンのあとマサイレッドのテーブルクロスの上に用意された朝食を僕たちは楽しんだ。こんなにも贅沢な美しい朝食は初めてであった。食べ物もソーセージにチーズに果物にパンにコーヒーなどといった簡単なものではあるが、全部作りたてで本当に美味しかった。


無事サバンナに着陸したバルーン

前田さんともサバンナの上で、「必ずまた来よう!」と大いに盛り上がった。
そしてムパタサファリクラブの帰り道、僕たちは今度は地上でのゲームドライブを楽しんだ。ドライバーがオボッチャではないのでいつもと勝手が違う。その上なかなか動物に会えないのである。ドライバーは挙げ句の果てには前田さんの双眼鏡を取り上げ、それでも見つからず何だかいいわけを言っていた。しかし僕たちはかわいいハイエナの親子をみることが出来た。ハイエナというとどうもあまりいいイメージがないが、実際のところはきちんと狩りもするし、逆さまにハイエナが狩りをしたものをライオンが横取りすることもあるそうである。確かに骨をも食べてしまうその犬歯はたしかに鋭い。しかしその顔と言ったらさすがに犬科である。特に子供は本当にかわいかった。以外であると同時に「やはり子供は人間でも動物でもかわいいんだね?」なんて前田さんとたわいもない会話をしていた。そんな当たり前のことを実感させてくれるサバンナはやはり僕にとって大事な場所である。

ムパタに戻ると、「バルーン・サファリ体験証明書」みたいなものを戴いた。
そしてそこには何故だか例のパイロットのサインがデカデカと書かれており、何と文面はフランス語であった。ケニアはもともとイギリス領である。にもかかわらず何でフランス語なのか?僕はタイソワに質問をした。そしたらびっくり、何とバルーンサファリはフレンチ・ビジネスとのことであった。しかもまだイギリス人がライフルを持って本当の「狩り」をしている頃、フランス人はもう既に新しいサファリ(旅)をはじめていたわけである。皮肉なぐらいにこの二つの国の違いが現れているように思った。
どちらがいいという話でもなく、正直言えば、僕はどちらの国も本当の意味では好きにはなれない。 それでもフランス人の何ともお洒落な感覚には恐れ入った気がした。
それと同時に僕たち日本人のインサイド・サファリはまだまだこれからだと実感した。

でも本当に楽しかった!
きっと僕はまた乗ると思う(今度はビデオを持って)


フランス語で書かれた体験証明書


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